29/07/2026
このたび誠文堂新光社 SEIBUNDO SHINKOSHA さまより
シェ・サガラ 相良シェフの「バゲットの発想と組み立て」をご献本いただき、その魅力について率直な感想の投稿をいただけないかとのオファーをいただきました。
相良シェフにおいては業界きってのスターシェフであり、その動向には皆が注目するところであります。以前ご出版のクロワッサンの発想と組み立て同様、指南書や教科書というよりも研究結果をまとめた研究書と言うべきものでした。製パンの道に足を踏み入れた者ならば深く読み入ってしまう踏み込んだ内容かと思います。
今から30余年を遡ると当時の私にとっての製パンというものはビゴ氏や二瓶氏を始めとした所謂、神様の手引きが絶対でありその道から外れること自体が邪道でありました。自らを「考えない兵隊である」と自覚すると同時に「なぜそうなるのか」「自分にとって正しい製法なのか」を考え得る機会を放棄してたとも言えます。本当にお恥ずかしい話です。同僚、後輩と話していても理路整然と説明ができずに「こう習ったから」と答えなければならないシーンも一度ではありませんでした。
もしあの頃に相良シェフのようなベクトルが自分に働いていたら今と違った道が待っていたかもと思わずにはいられません。そんな時に手にした「バゲットの発想と組み立て」は今まで私なりに積み上げてきたものの検証であったり長年のわだかまりになっていた疑問であったりを確かめ、理論的に実証するのに足るものでありました。製法、ルヴァンの使い分け、粉の選定にまで踏み込んだ専門書はなかなかないと思います。こうやっていたけどやはり合っていた、こう習ったけどどうも様子が違うな、ともに大きな発見や安心がありました。もう一つこの本の大きな特徴として「オシャレ」。道具も含めて手元に置いておきたいクールなものってプロには結構大事な要素かと思うところであります。
相良シェフの似顔絵など挿絵もカッコイイ。見惚れるような内相のバゲットの写真はパン屋もそれを志す同志たちにも憧れの一冊になるはずです。